いつもの日曜日

12時頃起床。玉川上水沿いを散歩して、吉祥寺へ向かう。
本屋で宮本常一著『家郷の訓』と松尾定行著『ローカル線各駅下車の旅』を購入。
大勝軒』でつけめんを食す。
帰宅後Amazonより、アルドリッチ監督『ロンゲスト・ヤード』、野村芳太郎監督『張り込み』、川島雄三監督『幕末太陽傳』のDVD到着。


こんな週末の過ごし方も、もうすぐ無くなる。玉川上水から離れるのはとても寂しい。
季節ごとに樹や花の変化を眺めながら、のんびりと吉祥寺まで歩くのは至上の喜びだった。
一方、吉祥寺から離れることに関しては、なんの感傷も催さない。
高円寺、吉祥寺、国分寺を、三寺と言って、中央線文化を代表する街だと言うけれど、
今の吉祥寺は、井の頭線で繋がっている渋谷のようにデートをする街になってしまった。
中央線文化圏を味わいたければ、高円寺や国分寺に住むべきだ。


『年寄りの昔はよかった』の愚を承知で、言うけれど、昔の吉祥寺は面白かった。
北口を出ると、バスのロータリーが砂利道で、最初に目に入るのが、ハモニカ横丁のはじっこの吉野家だった。
その反対、西のはじっこがPARCO。今はLIBROとゆう名前に変わってしまった地下のブックセンターには、
国書刊行会の本が固まってる一角があって、一部の人間の間では『吉祥寺のPARCOブックセンターのあそこらへん』は有名だった。
LOFTからスタバへの小路には、名曲喫茶があって、その隣にキャサリン・ハムネットの服を輸入販売している店があった。
仲道通りのOSHMAN'Sが有るあたりには、芽瑠璃堂とゆう輸入盤専門店があって、よくブルーアイド・ソウルのレコードを買った。
その近所に、美味しいトンカツ屋があったのだけれど、ビルに建て替えたら、イタリア料理屋になってガッカリした。
バウス・シアターは、ひょいと入るとジャック・ドワイヨンの映画がかかっていたりした。芝居もやっていた。今は松竹の末端の系列館。
井の頭公園も、花見のシーズン以外は、ひっそりとしたもので、あのバタバタと騒々しい足漕ぎボートも無かった。
その上に、あの人を馬鹿にしたような白鳥ボートときた日には…。
そして、いつのまにか、下手糞なイラストを売る才能の無い馬鹿と、下手糞な演奏で耳を覆わせる才能の無い馬鹿が、
店をひろげはじめ、そこに、犬を自慢したい馬鹿が集まる。池の周辺に近づかなくなって随分経つ。
そんな馬鹿どもの知らない場所が有る。そこは20年前からちっとも変わらない。夏にはビールを飲みながら木陰で本を読んだ。

ボロクソに言ったけれど、今でも玉川上水とその場所は、自分にとって天国であることに変わりは無い。
いつか、また戻ってくるかもしれない。