染井

「なぁ、兄弟。おめぇが住んでるなぁ駒込だよな」
「あぁ、動坂町よ。そいつがどしたい?」
「俺が住んでんのも駒込か?」
「馬鹿野郎。俺もてめえも同じ長屋じゃねぇか。俺が動坂町で、てめぇが蛎殻町なんて、そんななげぇ長屋があるもんかい」
「あぁ、やっぱりそうだったか。胸につっかえてたもんが、すぅっと下りたね。いやね、俺たちゃ花見ってぇと、もっぱら谷中に行くじゃねぇか」
「そりゃ、おめぇ、あそこの桜は見事だからなぁ」
「でもよぉ、駒込っていやぁ、桜ぁ染井じゃねぇかな?」
「おめぇ、馬鹿かと思ってたら、いいこと言うね。たしかにあすこは本場だ。よし、今日はこれから染井に行こうじゃねぇか」
なんてぇ、話がありましたかどうか。今回の黄門様一行は、染井霊園へと出立したのであります。


染井霊園には何度か来ているけれど、染井吉野の季節に足を運ぶのは初めて。谷中霊園と違って、ここでは桜を見る人はいてもお酒を飲んだりする人はいない。静かでとても気持ちがいい。

いつものように慈眼寺で芥川家と谷崎家の墓参をして、染井霊園を一周する。白山通りを渡って、巣鴨の地蔵通商店街へ。



三ツ矢サイダーのデザインが好きだ


荒川線の庚申塚から都電に乗って、雑司が谷荷風散人の墓へ香華を手向けに行こうかと思ったけれど、機会を改めることにして商店街を巣鴨駅に引き返す。駒込まで歩いて帰宅。

きみは看板猫



日向ぼっこ