秀子
いや、こりゃまたこんな格好で面目ない。 娘と羽子板で遊んでやっていたところなんですよ。 ほれ、秀子!新年のご挨拶をなさい! 晴れ着なんか着ましたもんで、照れてるようです。 ささ、どうぞ、なんのお構いも出来ませんが。
父はもうすぐ帰るはずですので、どうぞ中でお待ちください。
仕事が捗らず、珍しく帰宅が12時近くになる。 すっかり冷えてしまった夕餉の膳で、秀子がうたた寝をしていた。 父親を待つとは孝行娘であるが、湯冷めがたたって風でもひかれては かえって仇となるので、軽く叱りつけ部屋に帰す。 冷酒の猪口の縁が、少し滲…
庭掃除をしていた秀子から、灯台躑躅の葉先が 赤くなりだしたことを知らされる。
申し訳ございません。 父は、神宮に六大学野球を見に行ってしまいました。 父より。 娘の名は、秀子と申します。 御茶ノ水の女子高等師範に入学したてでございます。