鰯雲、稲妻

新文芸座へ、成瀬巳喜男特集を観にいく。
昭和33年公開「鰯雲」、昭和27年公開「稲妻」の二本立て。
鰯雲」には、大好きな二代目中村鴈治郎が出演。鴈治郎いいですねぇ。いつものように頑固なんだけど、お酒があると聞くと相好を崩す。愛嬌があるんだよなぁ。
雁治朗の役どころは、戦前からの地主の長男、戦後の農地解放で土地を失っても、まだ封建的な気質が残っていて、戦後育ちの自分の子供たちの自由奔放さが理解できない。彼らの行動を頭ごなしに否定する。それでも、三男の学資のために残り少ない田畑を売って、「わしの自由にできない金だ」と呟く。名演だ。
淡島千影が、結婚したばかり雁治朗の息子、小林圭樹に向かって言う。これからの新しい時代の風を真正面に受けとめなければならないのは、あなたたちじゃなくて、お兄さん(雁治朗)の世代だと。いいシーンだ。。。