イェルサレムの若大将

「やぁ!今じゃぁ、村上春樹のファンというほどでもない僕だけど、彼のイェルサレムでのスピーチを聞いて、僕ぁ実に感動したんだなぁ。」


「正直に言うと、僕ぁ、彼が影響を受けた作家や彼が日本に紹介した作家たちのほうに興味が移ってしまっていたんだなぁ。おぉっと!とり舵いっぱぁーい!」


「ねぇ君『壁』っていうのは、彼も言うとおり、今のイスラエルのことだけを指すんじゃぁない。権力とか軍隊とか警察ばかりじゃないんだ。そう思うだろう?」


マンドリンを取り出す雄三、以下2時間半のリサイタル


「僕が京南大学を出たあと、彼らの世代は盛んに学生運動をやっていたものさ。でもバリケードセクトも『壁』なんじゃないかと僕ぁ思うんだなぁ。そこにぶつかって割れた『卵』も沢山あったんじゃないかと思うんだなぁ。こんなしゃべり方をしていると、や山下清かと思われてしまいそうで、ぼ僕ぁ、きょ恐縮なんだな。」


イタコの口寄せ(死んでねーか)は、疲れるので、普通に戻ろう。
村上氏が経験した時代。学生たちの一部は、集団内でリンチを行い、別セクトとの闘争に明け暮れ、個人の思想を圧殺した。まさに彼らも『壁』を作ったのだ。
『壁』は権力の有無だけによって作られるものではない。武力の優劣だけによって作られるものではない。


イスラエルに行くなら不買運動だって?糞食らえだ!死んじまえ!
俺があのスピーチを支持する理由は、彼が限りなく繰り返した『誠実』という言葉を実行したからに他ならないんだ。