From「ブレードランナー」To「浮草」
今日は、宮崎氏が抑え切れない興奮とともに「ブレードランナー最終版」ボックスを携えて我が家を訪れた。
早速、プレーヤーにかけたのだが、すさまじくクリアな映像と音響に驚愕。
未公開フィルムから構成された別バージョンにいたっては、開いた口が塞がらない。
何テイクとゆうか、どれだけのシーン、どれだけのシークエンスを撮ったのだろう?
我々が知っている「ブレードランナー」とは全く別の映画を創ることが可能なほどに、カメラを回していたのだ。
もう、二人で「キャーキャー」言いながら鑑賞した。これは買わねばならない…。
ここでタイミングよく、HMVで注文した小津の「浮草」が配送されてくる。
その後は、お返しに我が家のDVDコレクションから、「ミュンヘン」のボーナストラック。
クライテリオン版「七人の侍」のサラウンドバージョンでの決戦場面、「幕末太陽傳」などをかける。
最後に、到着したばかりの「浮草」をかけたのだが、これには二人してはまってしまった。
中村雁治郎、京マチ子、若尾文子(ムチャクチャ可愛い)、杉村春子、三井弘次、キャメラは宮川一夫。
久しぶりに観て感じたのは、言っちゃなんだんだが、マンネリズムに陥った晩期の中では、この作品は郡を抜いて面白い。
旧作のリメイクとゆうことで、ホームドラマから離れることができたし、大映のアクの強い俳優を使うことで、松竹のパターンから抜け出せたのも良かったのだろう。
ユーモアに溢れる前半。一転して劇団が空中分解する悲劇。
後半になるに従って陰影を際立たせた照明、とにかく宮川一夫の撮影が見事。
雁治郎と京マチ子が雨の中で罵りあう場面の、なんと素晴らしい画面構成。
そして雁治郎がとにかく動きまくる。雁治郎がマチ子を殴る。文子を殴る。これが小津の映画なのか?
もちろん、三井弘次と杉村春子の演技が素晴らしいのは、言うまでも無い。
観ながら、二人で役者の名前を当てたり、笑ったり、画面構成に唸ったり。
あぁ、映画館に行かなくても、こうゆう自宅での映画鑑賞も楽しいかもしれないなぁ。と思った次第。
「ブレードランナー」に始まり、「浮草」で終わる。幸福な一日であった。
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