ゆうべの続き

川本三郎の随筆集「東京暮らし」のこと。猫好きの川本三郎らしい微笑ましいエピソード。
同じマンションに住む、女の子のみっちゃんが、川本家の飼い猫ヤン坊に会いにやって来る。

 猫の好きなみっちゃんは時々、「猫、見せて」といって遊びに来る。猫のほうは、頭をなでられると最初は迷惑そうにしていたが、そのうち、ゴロゴロいうようになった。
 みっちゃんは行儀のいい子で、抱きたい時に「猫、抱いていい?」と聞く。どうぞというとうれしそうに猫を抱こうとする。しかし、わが家の猫はゆうに六キロはあるので、みっちゃんにはなかなか抱けない。
「来年、みっちゃんが小学生になったら抱けるよ」というと、うんとうなずく。